木版画工房アルプ

光と風の山岳風景

木版画作品の制作過程 その6 色版

第2版と同様に、第3版を彫ります。

第3版(複写)

色版には、シナベニアのいたを使いました。
シナベニアの板は柔らかいので、朴の板より作業がはかどります。
ただし、あまり細かい彫には向いていません。

第3版(彫)

第4版以降も同様にして、色版を彫っていきます。
全ての色版を彫りおえると、彫りは完了です。

木版画作品の制作過程 その5 第2版

第1版を使い12枚同じものを摺ります。
この摺りを校合摺(きょうごうずり)と言います。

その中の1枚に第2版として彫る部分の線を描き込みます。
図の中央の紙が書き込んだものです。

校合摺

書き込んだ第2版の紙を裏返しにして、大和のりで版木に張ります。
そして、少し乾いたころに、ゆっくりとはがずと、薄紙に次に彫る部分が残ります。

校合摺の転写

すると、次のように必要な線が版木に残ります。

第2版(複写後)

これをもとに、富士山の線と、中景の山稜の線を彫ります。

第2版(その1)

第2版(その2)

彫り終わると次のようになります。

第2版(完成・薄紙)

薄紙を洗い流すと、このようになります。

第2版(完成)

この版木を使って摺ってみます。
右側が第1版を摺ったものに、この第2版を摺り重ねたものです。左側が原画です。

第2版(摺重ね)

木版画作品の制作過程 その4 第一版

複写した線を元に彫ります。
今回は、空、中景の山稜、前景の墨線を同じ版に彫りました。
約4時間ほどで、次のように彫が完了しました。

第一版(完成)

この第一版を摺ると次のようになります。
右側が版木で、左側が「鳥の子紙」に摺ったものです。
なお、本摺りには「生摺奉書紙」を使用します。

第一版(摺り)

木版画作品の制作過程 その3

次の工程は、下絵の版木への複写です。

まず、トレーシングペーパーを使い、下絵の線を写しとります。

トレーシングペーパー

写し取ったトレーシングペーパーを裏返しにして、カーボン紙をはさんで、第一版に必要な線を版木に複写します。摺った際に正しい向きになるように、裏返しにして複写することがポイントです。

版木へ複写

今回の版木は、朴の木です。

木版画作品の制作過程 その2 下絵

まず、下絵を作成します。

スケッチと写真をもとに鉛筆で描きます。

下絵(線のみ)

そして、その下絵に彩色をしていきます。
今回はアクリル絵の具を使っていますが、水彩絵の具を使用することもあります。
近景と遠景の境には、マスキング液を使用しています。

下絵(彩色)

そして、完成した下絵がこれです。
この下絵を原画として、これから版画を制作していきます。

下絵(完成)

木版画作品の制作過程 その1

木版画の作品の制作過程を、南アルプスの観音岳からの薄暮の富士を臨んだ風景を描いた「沈みゆく富士・観音岳より」を題材に説明していきます。この作品は、8枚の版木使った39色摺りになります。

沈みゆく富士・観音岳より